調査の栞 - Japanese ships in recollections 戻る

ベカぶねと航研機のペーパークラフト - 2009.5記
ネットでベカぶね(べか舟)のペーパークラフトの写真を載せたブログをいくつか見つけ,しばし見入ってしまった.なかでも一番驚いたのがペーパークラフトの展開図を拡大コピーして実物のべか舟を生徒が製作した小学校があったことである.
このペーパークラフトは東京都の大田区立郷土博物館が発行している.ベカぶね(親,中,小)の3つと大田区にゆかりのある航研機と玉井式日本号という複葉機の2つ,合計5つのセットになっている.
これらのペーパークラフトは2000年5月に同館から依頼されて設計したもので,夏の工作教室の学習材料として企画された.もう9年前のことになるが,担当学芸員のKさんと共に制作したペーパークラフトをなつかしい思い出とともにここで少し紹介したい.
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海苔親船の試作船 2000.10.22
ベカぶねをご存知だろうか.ベカ,あるいはテンマともいう一人乗りの海苔作業船である.長さ5m弱,幅1m弱の船体を17分の1スケールにした.さらに小さくすれば,笹舟のようである.ペーパークラフト化のために提供いただいた資料を見て構造,各部の名称,歴史がわかり,この種の船の見方がまるで変わってしまった.ベカぶねは本物の構造に出来る限り忠実に設計した.解説は同館が担当,この教材で船の歴史と構造がわかるというコンセプトだった.
海苔親船は大正末期に大型の木造海苔作業船として登場した船が昭和期に焼玉主機を搭載し,昭和30年代の価格で1隻約20万円だったという.この模型の参考とした同館に保存されている伊藤丸を見学した.ビニールハウスに収納されている船体は腐食がはげしく,虫も這っている.一度,漁船に改造された船を再度,復元したので部材が新しいところもある.造船所は既に無いそうで,技術を持っている人も3人ほどだという.中ベカを加えて3種類を揃えたが,シンプルなベカぶねが一番人気があるようだ.
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ベカぶねの組立図
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航研機の試作1号機 2000.8.5
航研機の名前は知っていたが,昭和初期にグルグル回って世界記録を作ったヒコーキという程度で,ましてや大田区で製造されたなどは今回初めて知った.特徴ある機体の表現に苦労したが完成した機体を色々な角度から眺めるととてもスマートだと再認識した.
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塗装をした試作2号機
実物の航研機の写真を見ると機体は何度か改良が加えられていることがわかる.学芸員のKさんによると,記録達成後は羽田空港の格納庫に放置されていたが戦後,米軍が地中に埋めたとのことである.機体を製造した東京瓦斯電気工業(通称・ガスデン)がその後,数社に分離していく歴史も興味深いものがある.
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航研機の組立図
部品は細かく分けると左右対称が難しかったり余計な手間が増えるので可能な限り一体化した.A3サイズの用紙に収まるように配置を検討した結果,1/96スケールまでの大きさとなった.特徴のある主翼の中に桁を入れて主翼の厚みを表現した.
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玉井式日本号の試作機
5点セットの最後は,玉井清太郎(1892〜1917)という人が設計した複葉水上機で実際に飛行はしなかったという機体を復元した.印刷用の航空機のペーパークラフト制作は今回が初めてだったこともあり締切までは胃が痛む日々が続いた.
同館が工作教室を開始してから4年後にペーパークラフトの販売を開始することになった.その折,新聞社から電話取材を受けた.あぁ,あの時は…と,設計開始時のことを思い出しながら小一時間あれこれと質問に答えた.記事は「ノリ養殖作業船や昭和初期のプロペラ機 復元 ペーパークラフトで」として掲載された.
このペーパークラフト設計を通してベカぶねと航研機の歴史に触れることができたのは大きな収穫だった.参考とした「大田区の船大工 − 海苔の船を造る −」(平8 同館発行)に掲載されている昭和30年代の海苔船の写真を見るたびに,これは素晴らしい写真だ,と何度も感心したものである.
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ペーパークラフトの復元と販売の新聞記事
平成16年(2004)5月11日 読売新聞朝刊

ナッチャンWorld
今年は函館開港,横浜開港がともに150周年を迎える.
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2009.3.7 横浜港・大さん橋
大さん橋を出航するナッチャンWorld.土曜日とあって散策中の家族連れや船ファンたちのさかんな見送りを受けていた.みなとみらい地区に林立するビル群や船の姿,船の数に時の流れを感じずにはいられない.

調査の栞
2008年,調査の栞を再開.
鹿島丸 Kashima Maru
鹿島丸 Kashima Maru (1993)
茨城県立海洋高等学校の練習船

2005.5.6 - O.Sakai
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