欧州航路 - 明治後期 戻る

欧州航路・欧州線 日本郵船(株) 明29.3.15(1896)開設大正期昭和初期戦後占領期海運再建期海運集約期
「日清戦争後の海外航路拡張の世論に応えるため」に日本郵船が開設した欧州定期航路には13隻(予備船1隻含む)の大型新造船が投入されたが新造船隊が整備されるまでに暫定的に6隻の汽船が就航した.土佐丸はその第1船で当時のわが国海運界が保有した初の大型貨客船であった.
当初月1回の定期とする予定を明治31年(1898)5月14日横濱出航の神奈川丸から2週1回に改め,使用船は合計12隻新造された.第2船以降はボンベイ寄港を省きマルセイユに寄港.本航路は航海奨励法(明治29年公布)による補助金のみでは充分でなく日本郵船は再三にわたって政府に毎年一定金額の補助金の下付を請願していたが明治32年(1899)3月,ようやく特定助成航路とする法案が議会を通過,翌明治33年(1900)1月から補助金を受けることとなった.
1896.3.15(明29)第1船土佐丸横濱出航[港]横濱/神戸/下関/香港/コロンボ(古倫母)/ボンベイ(孟買)/ポートサイド(坡土西)/ロンドン(倫敦)/アントワープ(安土府)[航]月1回両港発[船]土佐丸,AGAPANTHUS,BALMORAL,和泉丸,鹿兒島丸,旅順丸

土佐丸 Tosa Maru (1892) 横浜港・大桟橋における土佐丸(左).右側は同じく日本郵船の威海丸
1896.4.18(明29)第2船和泉丸横濱出航[港]横濱/神戸/下関/香港/コロンボ/ポートサイド/マルセイユ(馬耳塞)/ロンドン/アントワープ
1896.5.15(明29)第3船AGAPANTHUS横濱出航
1896.6.24(明29)第4船鹿兒島丸横濱出航
1896.7.20(明29)第5船BALMORAL横濱出航
1896.8.8(明29)第6船旅順丸横濱出航
1897.3.24(明30)神奈川丸横濱回着[船]神奈川丸

神奈川丸 Kanagawa Maru (1896)
1897.5.17(明30)博多丸横濱回着[船]博多丸
1897.8.2(明30)河内丸横濱回着[船]河内丸
1897.8.12(明30)若狹丸横濱回着[船]若狹丸

若狹丸 Wakasa Maru (1897)
1897.8.25(明30)鎌倉丸横濱回着[船]鎌倉丸
1897.9.13(明30)讃岐丸横濱回着[船]讃岐丸
1897.11.9(明30)因幡丸横濱回着[船]因幡丸
1898.2.7(明31)丹波丸横濱回着[船]丹波丸
1898.3.4(明31)備後丸横濱回着[船]備後丸
1898.5.14(明31)横濱出航の神奈川丸から2週1回に増配[航]2週1回[船]土佐丸,神奈川丸,博多丸,河内丸,讃岐丸,若狹丸,因幡丸,丹波丸,備後丸
1898.8.26(明31)常陸丸竣工[船]常陸丸
1898.9.10(明31)佐渡丸横濱回着[船]佐渡丸
1899.2(明32)欧州往航同盟に加入.復航にロンドン寄港開始[船]神奈川丸,博多丸,河内丸,讃岐丸,鎌倉丸,常陸丸,若狹丸,因幡丸,丹波丸,備後丸,佐渡丸
1899.11.14(明32)阿波丸竣工[船]阿波丸
1900.1.1(明33)逓信省命令航路(特定航路助成)受命.神奈川丸型6隻,若狹丸型6隻および予備船信濃丸就航完了[港]{往航}神戸/門司/香港/シンガポール/ペナン/コロンボ/スエズ(蘇士)/ポートサイド/マルセイユ/ロンドン/アントワープ/ミドルスブロー{復航}ロンドン/ポートサイド/スエズ/シンガポール/香港/神戸[船]神奈川丸,博多丸,河内丸,讃岐丸,鎌倉丸,常陸丸,若狹丸,因幡丸,丹波丸,備後丸,佐渡丸,阿波丸[命]1900.1(明33)~1909.12(明42)
1900.8.7(明33)信濃丸横濱回着[船]信濃丸
1901(明34)[港]横濱/神戸/門司/香港/コロンボ/ポートセット/マルセイユ/ロンドン[船]神奈川丸,博多丸,河内丸,讃岐丸,鎌倉丸,常陸丸,若狹丸,因幡丸,丹波丸,備後丸,佐渡丸,阿波丸,信濃丸[片賃]神戸(3・00)/門司(5・00)/香港(18・00)/シンガポール(35・00)/ペナン(40・00)/コロンボ(55・00)/ポートセット(135・00)/マルセイユ(150・00)/ロンドン(165・00)
1902.1(明35)日本欧州復航同盟に加入.往航上海に寄港開始[船]神奈川丸,博多丸,河内丸,讃岐丸,鎌倉丸,常陸丸,若狹丸,因幡丸,丹波丸,備後丸,佐渡丸,阿波丸
1904.1(明37)配船中止(日露戦役)
1906.4(明39)2週1回の定期復旧[航]2週1回
1906.8(明39)博多丸に欧州航路初の日本人船長
1907(明40)北米線の伊豫丸が就航した理由は不明(阿波丸が同年1月に英国で座礁した関係か)[船]博多丸,河内丸,讃岐丸,備後丸,阿波丸,伊豫丸
1908.7.10(明41)賀茂丸竣工[船]賀茂丸

賀茂丸 Kamo Maru (1908)
1908.12.1(明41)平野丸竣工[船]平野丸
1909.1.16(明42)三島丸竣工[船]三島丸
1909.3.5(明42)熱田丸竣工[船]熱田丸
1909.3.9(明42)宮崎丸竣工[船]宮崎丸
1909.4.28(明42)北野丸竣工[船]北野丸
1910.1.1(明43)遠洋航路補助法の補助受命
1910.1(明43)使用船1隻減じて11隻で2週1回定期実施[船]佐渡丸,平野丸,丹後丸,賀茂丸,安藝丸,三島丸,加賀丸,伊豫丸,常陸丸,宮崎丸,北野丸,熱田丸(臨),若狹丸(臨),河内丸(臨),神奈川丸(臨),博多丸(臨)
英国/内地回航 三井物産(株)船舶部 明治後期-大正期-昭和初期
三井物産船舶部の自主設計による石炭運搬を主目的とした貨物船高雄山丸他3隻を英国で建造し日本人船長,船員により回航した.
1911(明44)[港]ミドルスブロー/横濱[船]高雄山丸[荷]銑鉄,雑貨

高雄山丸 Takaosan Maru (1911)
  [港]ニューキャッスル/横濱[船]金華山丸[荷]大砲,砲座,銑鉄
  [港]ニューキャッスル/内地[船]六甲山丸[荷]石炭,銑鉄
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